こんにちは。大津市で鍼灸師をしている、このみ治療院の村田です。
鍼灸とは?どんな治療?どんなことするの?
鍼灸とは東洋医学療法の一つで、鍼を刺したり灸で温めたりする治療法ですが、数多くの施術法があります。鍼が痛そうとか灸が熱くて危険そうとか怖いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、決して怖い治療法ではありません。興味はあるけど受けたことがない方にもイメージしていただきやすいよう、簡単に鍼灸の説明をさせていただきたいと思います。
鍼灸とは
鍼灸とは、東洋医学の治療法の一つです。今から二千年以上前に中国で誕生し大変長い歴史があり、日本には奈良時代に伝えられたとされ、江戸時代には庶民にも広まったと言われています。
鍼灸の治療法と得られる効果
鍼(はり・針)や灸を用いてツボと呼ばれる経穴に刺激を与えたり、痛みが起こっている部位や筋緊張を起こしている部位に直接の刺激を与えたりし、身体のケアを行う療法です。人が本来持つ治癒力や免疫力を高めて治療から病気やケガの予防までめざします。
鎮痛作用、血行促進作用、免疫力の活性化などの効果があると考えられ臨床上で鍼(針・はり)と灸(きゅう・やいと)が組み合わされて用いられる場合があります。鍼(針・はり)は機械的刺激であり、灸は温熱刺激となります。
鍼と灸はそれぞれ別の国家資格が必要です
「鍼灸」「はり・きゅう」「しんきゅう」と合わせて称されていますが、鍼と灸はそれぞれが別の資格となり、鍼は鍼師(はり師) 灸は灸師(きゅう師)の国家資格が必要です。
ここからは鍼と灸についてそれぞれ詳しく解説していきます。
鍼治療の特徴
各種の鍼(針)を用いて人体を刺激し経気や筋を調節し、人体機能を調整することにより不調の治療を目指すものです。
鍼(針・はり)治療では、ステンレス製または銀製など金属の細い鍼を用いて身体に刺します。一般的に使用される鍼は、太さ直径約0.10㎜~0.30㎜、長さ約15㎜~90㎜を用いられていますが、施術者の治療法や身体の部位によっては、それより太い鍼や長い鍼を用いる施術者もあります。
身体に鍼を刺す方法として現在の日本で一般的な刺し方は、管鍼法(かんしんほう)です。管鍼法とは、江戸時代前期に杉山和一により考案されました。鍼管と呼ばれるストロー上の管が、身体に刺入する鍼のガイドチューブ的な役割をし刺鍼時の痛みを少なくできる日本発祥の技で、今では海外でも用いられています。
鍼の刺し方、手技について
鍼を刺して電流を流す方法や撫でたり擦るだけの方法もありますが、昔からある技法を紹介したいと思います。
- 【置鍼術】 刺入した鍼をそのまま数分~数十分とどめておく。
- 【単刺術】 目的の深さまで刺入し直ぐに抜く。
- 【雀啄術】 刺した鍼を上下に動かす。
- 【回旋術】 刺した鍼を回旋させる。
- 【振せん術】 刺した鍼を振動させる。
など、他にも様々な技法があります。
刺さない鍼
てい鍼(ていしん)、梅花鍼(ばいかしん)、小児用鍼(しょうにはり)は体内には刺さずに、体表に接触・押圧・摩擦など優しい刺激だけの鍼療法もあります。
灸治療の特徴
お灸は、身体に点在するツボや不調を感じる部位などに艾(もぐさ)を置き、火をつけてあたためることで血行を良くし、人が持つ自然治癒力を高めて症状を改善します。
お灸に使う艾(もぐさ)は、多年草であるヨモギから作られます。ヨモギは、古代から身近な薬草として傷の止血、虫刺されのかゆみ止めに使われたり、生薬として身体を温めたり、腹痛、胸やけ、下痢、便秘など、さまざまな症状に効果があるとされ、ヨーロッパではハーブの母と呼ばれ広く用いられ、人々の暮らしに役立ってきた植物です。
艾(もぐさ)は、ヨモギの葉の裏側をびっしり覆う白い繊毛を精製し作られています。乾燥したヨモギから1/200しか取れない貴重なモノなのです。
お灸の歴史は2000年を超えており、誰がヨモギの葉の裏を集め灸にすることを考えたのかは分かりませんが、松尾芭蕉の奥の細道にも『三里に灸するより』とあるように、伝統的な治療になります。
鍼灸治療で効果が期待できると言われている疾患
鍼灸治療で効果が期待できると言われている疾患は、以下のようなものがあります。
神経系の疾患
- 神経痛
- 神経麻痺
- 痙攣
- 脳卒中後遺症
- 自律神経失調症
- 頭痛
- めまい
- 不眠
- 神経症
- ノイローゼ
- ヒステリー 等
運動器系の疾患
- 関節炎
- リウマチ
- 軽頚腕症候群
- 頸肩こり
- 五十肩
- 腱鞘炎
- 腰痛
- 外傷の後遺症(骨折、打撲、むち打ち、捻挫)
- 各種スポーツ障害 等
循環器系の疾患
- 心臓神経症
- 動脈硬化症
- 高血圧症
- 低血圧症
- 動悸
- 息切れ 等
呼吸器系の疾患
- 気管支炎
- 喘息
- 風邪および予防 等
消化器系の疾患
- 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)
- 胆嚢炎
- 肝機能障害
- 肝炎
- 胃十二指腸潰瘍
- 痔疾
- 口内炎 等
代謝内分泌系の疾患
- バセドウ病
- 糖尿病
- 痛風
- 脚気
- 貧血 等
生殖・泌尿器科の疾患
- 膀胱炎
- 尿道炎
- 性機能障害
- 尿閉
- 腎炎
- 前立腺肥大
- 陰萎 等
婦人科系の疾患
- 更年期障害
- 乳腺炎
- 白帯下
- 生理痛
- 月経不順
- 冷え性
- 血の道
- のぼせ
- つわり
- 不妊症 等
耳鼻咽喉科系の疾患
- 中耳炎
- 耳鳴り
- 難聴
- メニエル氏病
- 鼻出血
- 鼻炎
- 蓄膿症
- 咽喉頭炎
- 扁桃腺炎 等
眼科系の疾患
- 眼精疲労
- 仮性近視
- 結膜炎
- 疲れ目
- かすみ目
- ものもらい 等
小児科系の疾患
- 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、変色、食欲不振、不眠)
- 小児喘息
- アレルギー性湿疹
- 耳下腺炎
- 夜尿症
- 虚弱体質の改善 等
また、WHOや米国・国立保健研究所(NIH)なども鍼灸治療の効果に関する資料を公表しており、世界で東洋医学の素晴らしさが認められ注目されています。
まとめ
今回は鍼灸とはどんなものか? どんな症状に効果的なのか? を簡単にまとめました。
鍼灸とは薬を使用しない療法なので、薬に頼りたくない方や薬療法中の方にも好まれることが多く、副作用の心配がないので安心して受けていただけます。